30代男の食卓

作った料理、読んだ本

Never Let Me Go カズオ・イシグロ

 

Never Let Me Go

Never Let Me Go

 

 終始キャシーの視点、キャシーの内省で描かれているのに終始もったいぶっているのは、構成上の意図なのか、表現上の意図なのか。

容易に心を明かさないキャシーに対する周囲の目はきっと、なんだか偉そうな奴、なんだと思うけれど、静かに取り乱したりしている様子は、一人称で描くからこそ共感できること。 

そういう風に見える人って、いるよなあと思ったり。余談。俺もきっと偉そうにしてるんだろうなあ。 

他者を理解しようと、また自分の心を理解しようと努めつつ、本当は自分のことをわかってもらいたい。でも心を預けようとするには自制が働きすぎる。 

また、そういう風に自分を留保しているうちは、芯から他人に共感することもできないのじゃないか、という気がする。 

傷つかないように、というより、傷ついてもまだ大丈夫なようにありたい。