「冬の犬」 アリステア・マクラウド
マクラウドに早くノーベル賞をあげないと、じいさん死んでしまうよ!
と思っていたら、とうとう亡くなってしまいました。寡作の作家。
- 作者: アリステア・マクラウド,中野恵津子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/01/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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(再読)
マクラウドの描く人々は、土地に縛られ、連綿と続く血に縛られ、裕福でもなく、決して自由とはいえない。いまどきそんな生活を望む者はいない。
でもそこに生活の手応えがある。生活は自然と手の届く範囲にあり、世代を通じて蓄積されなければ得られないような、生活の知恵や伝説やが息づいて いる(だって、一人の人間が短い生の中で経験し得るものは、限られているのだから)。それが孤独な人の心を暖めている。ひとりの老人が呟くゲール語の一言 には、彼の父の、そのまた父の、一族のヴォイスが重なって響く。
そういう、僕らが手にし得ない貴重な財産に、どうしようもなく惹かれる。