30代男の食卓

作った料理、読んだ本

新潟、食い倒れの旅

そうだ、新潟へ行こう。酒の陣に行こう。といって友人と、朝7時の新幹線。

酒の陣というのは、新潟のなんとかメッセに、新潟100の蔵が出店する大試飲会です。ポケットにそっとスルメを忍ばせて、いざ参ろう。

現地で、友人の彼女と合流。

有名な久保田(萬寿とか)、吉乃川、越乃寒梅、緑川などなど巡りつつ、この日は、これまで知らなかった、コレというものを見つけて帰るのだと鼻息荒く開門を待つ。

開始まもなく、3つ目くらいのブースで見つけてしまったのは、

◆長谷川酒造「長岡城」特別本醸造

県内限定だというのはさておいて、この透明感のある飲み口、くどい甘さのない、いかにも食中に向くこのお酒は、なんだかほんのりと香ばしいような、不思議な食欲をそそるような香りを持っていました。

これだけではいかにも物足りないと思って、最後に手にして帰ったのは、

◆市島酒造「王紋 夢」純米

大吟醸でもなく、純米。これが一番バランスが取れていたように思う。よく居酒屋に置いてあるような香りも味も甘くて華やかなタイプのお酒は、冷たくしてちょっと飲むには良いのだけれど、腰を据えて飲むとなると、くどいし、食事にはミスマッチと感じているので、こういうのが好きです。

 

でまあ、昼間っから酔っ払いつつ、至福の昼寝を挟んで、夕食はホテルの近く(というか、近くに宿を取ってもらった)の、刺身のおいしい居酒屋へ。ここでも日本酒をぐいぐいと。

どんな人がタイプなんですか、などという話をした後だったので、注文を取ってくれたお姉さんが、わたくしの好きなタイプなのを見抜かれ…。丁寧で落ち着いた人で愛想も良くて。女から見ても、いいと思います。ナツメグさんのために連絡先を聞いてあげます!と友人の彼女が悪乗りして言うのだが、歳を聞いてみたら21歳の学生さんだった。

24、5だろうと話していたのだけれど、それでも「学生さんですか?」と切り出すのを隣で見ていて、なるほどと思った。そうです、と言われてびっくりしたけど。

翌日は村上に行き、温泉と鮭。

塩引き鮭(要は塩鮭)、酒漬け(半年くらい寝かせたやつ)、ハラコの醤油漬け。

おいしかった。3人とも無言で味わい尽くす。言ってみれば食べなれた塩鮭なのだけれど、塩鮭に対してこんなに真剣に向き合うことって、なかったんじゃないかと。

よく、高いレストランに行って食事をすれば、高いというだけですぐ、おいしい!と思ってしまうものだと意地悪を言うけれど、こういう見方もできるのではないか。つまり、高いから真剣に向き合う気になるし、真剣に向き合うからこそ堪能できるのだと。

ありふれた食べ物も、真剣に向き合えばきっとおいしい。

この感じはお土産じゃ伝わらないよなと思いつつも、お土産をクール便で、来られなかった友人へ送ってやる。塩引き鮭は、一切れ800円(!)

 

日本海の海は、荒れた、人を拒むような、鈍色の・・・と想像して楽しみにしていたのだけれど、そういうのには少し時期が遅かったらしい。春の入り端の日本海は、少し緑がかった、きれいな色をしていた。ただ、波が荒れている。

水平線は遠く、海はやっぱり広く、その広さの中に身を置く想像を膨らませたら、なんだかとても怖くなった。海は怖い。

 

と、まとまりもなく。