30代男の食卓

作った料理、読んだ本

カゴメの個人株主対策費

まあ、たまにはこんなこと考えてみたり。

 

カゴメは個人株主に手厚い企業として有名で、17万人の個人株主がいて、その比率も議決権ベースで50%超(株主数ベースでは99%)というなかなかに特徴的な株主構成になっています。(目につく企業は大体、議決権ベースで10~25%くらいじゃないか?)

 

どうやって個人株主を増やしたかというと、目玉は株主優待。議決権の割合で配分されない株主優待は株主平等の原則に反するのではないか、、、という点はさておいて、個人が少ない資金を投資するとなると、この株主優待というのがバカにならない要素なわけでして、上場会社の株主優待を網羅した刊行物が毎年出版されるくらいです。

 

で、このカゴメさんが株主優待にかけているコストというのもを試算してみる。

前に課題図書として読んだ「地頭力を鍛える」の例題みたいだな。

http://www.amazon.co.jp/地頭力を鍛える-問題解決に活かす「フェルミ推定」-細谷-功/dp/4492555986

 

カゴメ株主優待は年2回で、

100~999株 →1000円相当の商品×2回/年

1000株以上 →3000円相当の商品×2回/年

 

持ち株数での個人株主の内訳は大体、

100~000株が7割

1000株以上が3割

 

郵送費を500円、商品の原価を40%とすると、、、

 

A(1000円×2回×7割)+(3000円×2回×3割))×40%(変動費)

B 500円×2回

(A+B)× 170,000人= 4億円弱/年

 

ううむ、これは・・・そうとうな金額。

カゴメはこのほか、株主向けのイベントを年27回(2011年度。古くてすいません)やっているし、プラス、どの会社でも必要な、株主総会の招集通知・決議通知を発送する費用なんかがあるのでこれををくわえると、約5億円/年。

 

ついでに、2011年度の当期純利益(連結)は42億円。

配当金は18円×99,616,944株(発行済株式数)=18億円

 

配当金/当期純利益    18/42=43%(配当性向)

それに加えて

株主優待費用/当期純利益 4/42=10%

合わせて53%!

 

 

株主側から配当利回りを見てみると、

 

カゴメの株価が1750円くらいなので、

100株の株主にとっては、配当利回り 1% 優待利回り 1%

1000株の株主にとっては、配当利回り 1% 優待利回り 0.3%

 

会社としては株主に相当還元してますが、個人としてはあんまり配当利回り(+優待)の観点からはうまみがないなあ。それでも個人株主が多いのは、つまりこれが株主優待の魔力か!?

 

しかししかし、それにしたって優待に当期純利益の10%も使っているのが驚き。

当然機関投資家のウケはあまりよくないだろうし、その4億円、ほかに使い道があるような気が・・・。

 

まあ、そういう問題ではなく、個人株主にアピールするのだという政策ありきなわけだし(そうせざるを得なかったのだ、という話を聞きます)、そのメリットもないわけではなさそうなので(「ファン株主」が自社商品を積極的に買い、さらに口コミ効果もあるのだというのが当社IRの語るストーリー)、一概にどうともいえないですが。